外資系企業経理マネジャーのための2016年12月期決算留意事項

本稿では、外資系企業特有の税務上の論点について、基本的な取扱いを中心に、2016年12月期決算での留意事項を解説します。
ここにいう外資系企業とは、一般的に、外国企業の100%子会社(株式会社や合同会社)や合弁会社が該当します。日本の税務上、外国企業の日本「子会社」は、あくまで日本の会社、つまり、内国法人として取り扱われます。内国法人であるため、基本的には、日系企業と税務上留意すべき点は共通していますが、外国企業の資本が入っていることから、税務上追加的に検討する点があります。

■外資系企業特有の税務上の論点

1.GAAP差異調整(会計基準差異の調整)

日本の税法上、法人税申告書は、日本基準による計算書類の税後利益から調整をはじめ課税所得を計算する確定決算主義の考え方を採用しています。そのため、IFRSやUSGAAPを採用し、Local bookを作成している外資系企業にとっては、まずは、IFRSやUSGAAPから日本基準に変換するGAAP調整が必要となります。
GAAP調整の方法は、主として以下の3つ方法が見られます。
1)会計システムに、IFRS/USGAAPと日本基準の両方を入力できる機能があり、会計システムを通して調整を行うケース(IFRS/USGAAP→JGAAP)
2)会計システム外でエクセルにて差異調整を行い、日本基準による計算書類を作成するケース(IFRS/USGAAP→JGAAP)
3)会計システムでは日本基準にてクローズし、親会社レポーティングのためにエクセルにてGAAP調整を行うケース(JGAAP→IFRS/USGAAP)
決算のクロージングのタイミングでは、tax provisionの計上が必要となりますので、①IFRS/USGAAPの内容、②日本基準へのGAAP調整項目、③法人税の申告調整項目を十分に把握しておく必要があります。

2.過少資本税制

過少資本税制とは、外国企業の日本子会社の資本構成に関して、利子の損金算入につき一定の制限を課す制度です。過少資本税制は、Thin capitalizationと呼ばれ、オーストラリアや英国でも同様の税制が導入されています。
具体的には、資本金が1000万円、親会社からの借入金10億円という資本構成を有した外資系日本法人があったとします。このような場合、資本金を低くすれば地方税の均等割を抑えられるとともに、資本金の代わりに借入金で法人に資金を供与すると法人が支払う利息は費用になるため、日本子会社の利益を抑えることが可能となります。こうした租税回避行為を防止するために、過少資本税制が適用され、利息の損金算入が制限されます。
なお、過少資本税制は、負債の額が資本の額の3倍を超える場合に適用され、資本持分の3倍を超える金額に対応する支払利子等 の損金算入は認めないこととされています。
適用に当たっては、計算過程がかなり複雑であるため、別表17(1)に当てはめ、決算前に、過少資本税制に該当するかどうか再確認することが望まれます。

3.過大支払利子税制(2012年税制改正により導入)

企業の所得の計算上、支払利子が損金に算入されることを利用して、関連者間の借入れを恣意的に設定し、過大な支払利子を損金に計上することで、税負担を減少させることが可能です。これらの租税回避行為を封じる措置として、以下の3つの制度が整備されています。
①過大な利率設定の制限(移転価格税制)
②資本に比べ過大な負債(過少資本税制)
③所得の金額に比して過大な支払利子の損金算入制限(過大支払利子税制)

過大支払利子税制は、③に関する租税回避に対する措置であり、関連者への純支払利子等の額のうち調整所得金額の一定割合(50%)を超える部分の金額につき当期の損金の額に算入しないこととする過大支払利子税制が定められています。

4.留保金課税

留保金課税とは、同族関係者1グループで株式等の50%を超えて保有している会社(特定同族会社)が、内部留保した金額に対して、追加的に課税される制度です。
中小法人等は、留保金課税の適用が免除されているため、資本金1億円以下の法人は、通常留保金課税は適用されません。しかしながら、親会社の資本金及び出資構成などにより、非中小法人等に該当し、かつ、特定同族会社に該当した場合は、留保金課税が適用されるケースもあります。親会社が非上場会社の場合は、決算前に親会社に確認をとるなど注意が必要です。

なお、留保金課税金額の計算方法は、通常の法人税の額に、課税留保金額に一定の割合を乗じて計算した金額を、通常の法人税に加算します。
留保金課税額=〔{(所得-社外流出)-法人税等}-留保控除額〕× 特別税率

5.源泉所得税(国内源泉所得の源泉徴収)

外資系企業の場合、関連会社との取引や外国ベンダーとの取引が多くなるため、非居住者・外国法人に支払う国内源泉所得に該当する取引が往々に見受けられます。

国外の企業が受け取ることになる「使用料」、「配当」、「利息」などは、受取る外国企業にとっても通常の所得になり、本国で課税されると同時に、日本においても源泉徴収されます。これは、日本で発生した所得、つまり「国内源泉所得」であるためで、日本においても課税対象とされることになります。

上記の典型的な国内源泉所得とは別に、例えば、海外の会社が所有するソフトウェアを利用し、そのロイヤリティを支払うケースや、海外の経営コンサルタントが来日し、コンサルティング報酬を支払うケースなど、支払先企業が外国企業である場合には、源泉徴収義務が生ずる可能性があり、慎重に課税関係を確認する必要があります。

「租税条約に関する届出書」をあらかじめ日本の税務署へ提出することで、源泉徴収の減免や免除を受けることができる場合がありますので、節税の観点からも租税条約の確認が必要となります。

6.中小法人の税務メリット

一般的に、資本金額が1億円以下の会社は、いわゆる中小企業向け特例措置としてさまざまな税務上の恩典を受けられるとされています。しかしながら、外資系企業の場合は、大法人等の100%子法人等になることから、親会社の資本金の金額により、税務上の恩典対象となる中小企業にに該当しないケースもあります。また、中小企業の定義についても、以下の通り、法人税法と租税特別措置法でそれぞれ異なることから、詳細な検討が必要となります。

1)法人税法で規定される中小法人等(法人税法第五十七条⑪他)
①普通法人のうち、資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(大法人 との間に大法人による完全支配関係がある普通法人または複数の完全支配関係がある大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人を除く)または資本もしくは出資を有しないもの(相互会社を除く)
②公益法人等または協同組合等
③人格のない社団等
※ 大法人とは、資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人、相互会社、法人税法4条の7に規定する受託法人をいいます。
※ 完全支配関係は、一の者が、法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいいます。

2)租税特別措置法で規定される中小企業者(租税特別措置法施行令27の4⑩他)
①資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
 ただし、同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人および2以上の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人を除く。
②資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
※ 大規模法人とは、資本金の額もしくは出資金の額が1億円を超える法人または資本もしくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

■法人税法で規定される中小法人等に対する税務上の特例措置
(1) 貸倒引当金の繰入れ
(2) 欠損金等の控除限度額の縮減の不適用
(3) 軽減税率
(4) 特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用
(5) 貸倒引当金の法定繰入率の選択
(6) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
(7) 欠損金の繰戻しによる還付制度

■租税特別措置法で規定される中小企業者等に対する税務上の特例措置
(1) 中小企業者等が機械等を取得等した場合の特別償却または税額控除(いわゆる「中小企業投資促進税制」)(措法42条の6)
(2) 中小企業者等が経営改善設備を取得等した場合の特別償却または税額控除(いわゆる「商業等活性化税制」)(措法42条の12の3)の適用
(3) 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(いわゆる30万円特例)(措法53条)の適用
(4) 雇用促進税制の特例〈措法42の12)
(5) 所得拡大促進税制の特例
(5) 試験研究費の特別控除
(7) 各種税額控除制度における税額控除限度額が優遇

7.ストックオプション

2012 年度の税制改正により、外国法人である親会社の日本子会社等(注)の役員や従業員が、親会社との契約により付与された権利に基づき経済的利益を受けた場合には、日本子会社が当該経済的利益に関する調書(「外国親会社等が国内の役員等に供与等した経済的利益に関する調書」(別表第9(3))の提出を義務付けられることとなりました。
(注) 発行済株式の総数の50% 以上を直接もしくは間接に保有する関係にある内国法人

■調書提出義務者:日本子会社または外国法人の支店の長
■提出期限および罰則等:経済的利益の供与等を受けた日の属する年の翌年の3月31日までに所轄税務署に提出。期限までの提出がない場合、または虚偽記載の場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金。

8.税務申告書 (別表17( 4)、資本系統図)

外資系企業において、法人税申告の際、以下の書類が追加的に作成が必要となるケースが多くなります。

①法人税申告書別表17(4)「国外関連者に関する明細書」
法人税申告書別表17(4)「国外関連者に関する明細書」は、法人又は連結法人が国外関連者との間で取引を行った場合において、毎期確定申告書に添付する必要があります。

②出資関係図
平成 22 年度の税制改正により、内国法人が、当該内国法人との間に完全支配関係がある他の法人を有する場合には、法人税の確定申告書に当該内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図(資本系統図)を添付することとされています。
この出資関係図には、原則として、当期末において当該内国法人との間に完全支配関係があるすべての法人を記載することとなります。

9.Expatのベネフィットにかかる役員給与、源泉

エクスパッツ(Expats)とは、Expatriate(国外居住者)の略称で、海外の本店、支店、親会社、関係会社などに所属し、転勤などの理由で日本法人に派遣されている駐在員のことです。

エクスパッツについては、その主たる給与を派遣元の海外で支払い、日本においては給与の一部や日本において生ずる生活費等の全部又は一部を負担するケースが多く見られます。また、国内で発生するエクスパッツ個人の所得税、住民税、社会保険料を、本人に代わって負担している事例も多く見られます。

このようにエクスパッツに対して、通常の給与を超えるベネフィットを提供しているため、例えば以下に列挙するような所得税の計算、所得税の源泉徴収、法人税など、通常の給与計算では処理できない様々な課税上の問題が発生します。

①所得税・社会保険料も考慮した手取り額を計算するため、グロスアップ計算の必要性
②生活費の一部を会社で負担する場合の給与所得課税対象となる経済的利益の範囲
③エクスパッツが日本法人の役員に該当する場合、定期同額給料の設定
④エクスパッツ役員のインセンティブボーナスの設計
⑤社宅家賃を損金算入するための徴収の処理
⑥本社から日本法人へチャージバックされる本社立替払い給料の処理
⑦ストックオプションコストの処理
⑧エクスパッツの日本国内での個人の確定申告(年末調整のみでは不十分なケース)
⑨エクスパッツの本国での確定申告処理

特に、外資系企業では人事担当者がグロスアップ計算を担当するため、役員報酬の定期同額に関する検討が漏れているケースが多く見受けられます。エクスパッツに関する支払いについては、発生の都度その課税の要否を判断し、課税もれのないように注意する必要があります。

10.関係会社間取引

外資系企業では、グループ間でのシェアードサービスの提供、本社からの経営サポート、無形資産の利用など、以下のような様々なIntercompany chargeに関するInvoiceが送られてくるケースが多くみられます。

・経営指導料(マネジメント・フィー)
・会計・ITサポートフィー(サービス・フィー)
・ロイヤリティー
・人件費やコストのチャージバック

本社からの指示でチャージされるため、日本法人サイドでは税務上の検討を行わず、機械的に処理されている事例が多くありますが、①寄付金認定されるリスクはないか、②源泉徴収が必要な国内源泉所得ではないか、という点についても、取引開始時に十分に検討する必要があります。

特にこれらの費用の請求に関し、契約書の有無、計算根拠の妥当性(実態に基づくか)、役務提供対価の妥当性(独立企業間価格に設定されているか)を本社サイドに確認することが、寄付金認定リスクを低減することにつながります。

11.寄付金認定

移転価格に関する税務調査に対しては、大企業から中規模法人へと調査対象が広がってはいますが、中小外資系企業では、移転価格の調査はまだまだ少ないのが現状です。しかしながら、国際取引が多い外資系の会社においては、通常の税務調査において、寄付金課税が論点とされるケースが多くなってきています。
寄付金課税においては、寄付金の額の算定方法が税法上明記されていないため、課税当局が寄付金の額を算定して課税を行うことが困難になることが想定されます。そのため、基本的に移転価格税制のなかで議論されるロイヤルティ取引や棚卸資産の取引などの取引価格の妥当性について、通常の税務調査で論点とされないケースもあります。
一方、寄付金額の算定が容易なものとして、契約金額の未回収、売上値引、債務免除、差額調整など、グループ会社間で当初から合意金額があり、それを取消した場合や減額した場合が挙げられます。このような取引について、寄付金として認定され、損金不算入とされるケースが多くなっています。

12.移転価格文書

平成 28 年度税制改正により、租税特別措置法の一部が改正され、次のとおり移転価格税制に係る文書化制度が整備されました。

移転価格文書化資料は3つの種類に分類され、全ての海外進出企業に作成が求められる①独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(以下「ローカルファイル」と、②マスターファイル、③国別報告書があります。
マスターファイルと国別報告書は総収入金額が 1,000 億円以上の多国籍企業グループに作成が求められ、グループ全体の事実関係を開示する資料となります。提出義務者となる企業が各資料を提出しない場合には、罰金が課されることとなります。

ローカルファイルは各海外子会社との取引関係や移転価格算定根拠などをを記載することが求められます。(適用は平成 29 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度から)。確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存することが法人に義務付けられました(いわゆる同時文書化義務)

13.親会社会計システムによる消費税処理

外資系企業のなかには、親会社のシステムをそのまま導入し、日本の消費税法に対応していないシステムを使っているケースが多くみられます。そのような場合は、実務上、全仕訳データをシステムから出力し、エクセルにて課税・非課税の集計を行うことになります。しかしながら、タイトな締めのスケジュールでは、消費税処理を検証する十分な時間もなく消費税の税額を確定する必要がでてきます。このような企業においては、月次もしくは四半期で消費税をレビューする仕組みを標準化することが望まれます。

また、2015年10月より、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等の役務の提供に係る消費税の課税関係の見直しが行われました。仕入税額控除対象となる登録国外事業者も、適宜追加されていますので、最新の登録国外事業者を国税庁のHPで確認し、漏れのないように処理することが望まれます。

■2016年12月期の税制改正論点

1.法人税率の引き下げ

2016年12月期に適用される法人税率は、以下の通り。
■大法人(資本金1億円超の法人等):23.9%(2015年12月期は25.5%)。
■中小法人等:
・年800万円以下の所得金額:15%
・年800万円超の所得金額:23.9%

2.繰越欠損金利用制限の強化

資本金1億円超の法人等の欠損金の繰越控除について、以下の通り、段階的な引き下げ措置がとられています。
(1) 控除限度額の段階的引下げ (28年度改正で以下の改正)
2015年12月期:所得金額×80%
2016年12月期:所得金額×65%
2017年12月期:所得金額×60%
(1) 控除限度額の段階的引下げ を参照
(2) 繰越期間の延長:9年(28年度改正で10年に延長)
(3) 設立法人の特例:新設法人については、7年目まで、控除限度額を所得の金額の100%相当額とする(上場会社や大法人の100%子会社は除く)

3.受取配当益金不算入制度の縮減

(1)益金不算入の対象となる株式等の区分及び配当額の益金不算入割合は次の通りに変更されています。
■完全子法人株式等(100%):100%
■関連法人株式等(1/3超):100%
■その他株式等(5%超1/3以下):50%
■非支配目的株式等(5%以下):20%

(2) その他株式等及び非支配目的株式等は、負債利子控除の対象外
(3)特定株式投資信託以外の証券投資信託の収益分配額は、原則、配当等の額から除外

4.研究開発税制の強化・重点化

共同研究などのオープンイノベーション型の研究を促進すべく、別枠で共同研究にかかる特別試験研究費控除を設ける措置がとられています。

■控除限度額の総枠:法人税額×30%
■一般試験研究費:
・税額控除率:8~10%(中小企業者等12%)
・控除限度額:法人税額×25%(繰越税額控除は廃止)
■特別試験研究費
・税額控除率:30%(国の機関・大学等との共同研究)、20%(その他)
・控除限度額:法人税額×5%
・対象となる試験研究の範囲を拡大

5.所得拡大促進税制の拡充

所得拡大促進税制は、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件をすべて満たす場合において、その雇用者給与等支給増加額の10%相当額の税額控除ができる制度です。(控除税額は、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度とする。)

平成27年度税制改正により、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要件が、平成27年度税制改正により、次のように改正されています。

2015年12月期:2% (2%)
2016年12月期:3% (3%)
2017年12月期:3% (4%)
(カッコ内は、中小企業者以外)

6.雇用促進税制の拡充

雇用促進税制は、その名の通り雇用を促進する目的で設けれた特例税制です。一定の条件を満たすと、雇用者の増加1人につき40万円の法人税(個人の場合は所得税)の税額控除を受けることができる税制です。(法人税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)

改正により、対象地域から、同税制の前提となる雇用促進計画をハローワークが受け付けた件数の上位である東京や神奈川、大阪、愛知などは除外され、28道府県に縮減(同意雇用開発促進地域)

2015年12月期については、雇用促進計画を提出していれば、雇用促進税制の適用は可能ですが、2016年12月期は、対象地域が限定されているため、注意が必要です。

7.生産性向上設備投資促進税制

この制度は,青色申告書を提出する法人(以下「青色申告法人」)が、平成26年1月20日から平成29年3月31日までの間に、特定生産性向上設備等の取得等をして、これを国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、取得価額の50%相当額(建物及び構築物については25%相当額)の特別償却と取得価 額の4%相当額(建物及び構築物については2%相当額)の税額控除との選択適用を認めるというものです。 なお、平成28年3月31日までの間に取得等をして国内にあるその法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した事業年度において即時償却と取得価額の5%相当額(建物及び構築物については3%相当額) の税額控除との選択適用を認めるという上乗せ(割増)措置が講じられています。

8.外形標準課税

①外形標準課税対象法人の資本割の課税標準及び地方税均等割の税率区分の判定基準となる資本金等の額の改正
「資本割」と「均等割」の課税標準となる「資本金等の額」は、以下の通り変更されました。

■改正後の基準:(a)もしくは(b)のいずれか大きい金額
(a) 「資本金等の額」+「無償増資額」-「無償減資等による欠損填補額」
(b) 「資本金」+「資本準備金」

②外形標準改正改正その他
・付加価値割と資本割の税率引上げ及び所得割の税率引下げ
・地方法人特別税の税率の改正
・付加価値割における所得拡大促進税制の導入(賃上げした企業への特例)
・法人事業税の税率の改正に伴う負担変動の軽減措置(中堅企業への特例)

9.地方税

①利子割の廃止
預金利子の県税利子割5%が廃止されたため、平成27年12月分までとなります。
2015年12月31日以前の預金利子等は、源泉所得税、復興法人特別税、利子割が控除され、
2016年1月1日以後、法人に対して支払われた利子等については、利子割課税の対象外となりました。

②地方税均等割の税率区分の判定基準となる資本金等の額の改正

■改正前の基準:法人税法2条 16号に規定する資本金等 の額(別表5(1)の「資本金等の額の計算に関する明細書」の合計額:通常は、資本金+資本準備金)
■改正後の基準:(a)もしくは(b)のいずれか大きい金額
(a) 「資本金等の額」+「無償増資額」-「無償減資等による欠損填補額」
(b) 「資本金」+「資本準備金」

*無償増資または無償減資による欠損てん補を証する書類の地方税の申告書に添付することが必要になります。

10.消費税:国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し

2015年10月1日より、国境を越えて行われるITサービス等(電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービス等)の役務の提供に係る消費税の課税関係の見直しが行われました。取引別の仕入税額控除、リバースチャージ等の取扱いは以下の通りです。
1)国内事業者が提供するITサービス→仕入税額控除可
2)BtoC国外事業者(登録国外事業者)が提供するITサービス→仕入税額控除可
3)BtoC国外事業者(登録国外事業者以外)が提供するITサービス→対象外
4)BtoB国外事業者が提供するITサービス→リバースチャージの対象
5)国外事業者が行う芸能・スポーツ等の役務の提供→リバースチャージの対象

*課税売上割合が95%以上の場合は、リバースチャージの対象はならず、特定課税仕入れはなかったものとされます。
*2016年4月1日より、国外事業者が行う芸能・スポーツ等の役務の提供について「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式による申告・納税義務が課されます。

このなかで特に重要となる登録国外事業者は、定期的に追加されていますので、以下のリンク先で定期的に確認をすることが望まれます。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/01.htm